講義コード 1236A
講義名 先端ビジネス論B
(副題)
開講責任部署 全体
講義開講時期 春学期
講義区分
基準単位数 2.00
時間 0
代表曜日 水曜日
代表時限 2時限
開講学科 情報処理学科
必選別 選択
履修セメスター 第3セメスター
その他 e-Learning履修可
担当教員

職種 氏名 所属
准教授 ◎ 宮川 幹平 (指定なし)

講義概要
本講義では、現在のビジネス展開において必要不可欠となったITシステムについて、その導入に関する企画から、要件定義・開発・運用/保守・廃棄に至る、ITシステムの一生(ソフトウェアライフサイクルプロセス)について取り扱う。特に、共通フレーム2013(SLCP-JCF2013)に準拠しながら、情報システムの開発及び運用を実施するための組織的な活動の流れやその内容、理論的背景などについても理解を深めていく。

一般的に学生にとっては馴染みの薄い分野であり、本講義を通じ、ITシステムを導入・開発・運用するというプロセスについて理解を深めることで、将来、様々な形でITシステムに接していく際に有用となる基礎素養を育むことを目標とする。
ゆえに、将来プログラマなどの開発者、システムの運用管理などを担当するシステム管理者などのIT技術者を目指す学生は勿論のこと、ビジネスにITを活用していきたいと考えている学生にも受講を推奨する。
到達目標
SLCP-JCF2013に基づく、ITシステムの企画から開発・運用のプロセスについて理解する。
また、情報処理技術者試験(基本情報技術者試験・ITパスポート試験)における当該分野(ストラテジ分野・マネジメント分野の一部)の出題レベルに対応出来る。
履修のポイント及び留意事項
本授業は、情報処理技術者試験「基本情報技術者試験」「ITパスポート試験」における、システム戦略、開発技術、サービスマネジメントの内容に関係するほか、本学が実施する「基本情報技術者試験」午前試験免除認定講座の一部である。
 毎回の授業の最初には前週の内容に基づく小テストを実施する。当然成績にも反映されるのでよく準備しておくこと。出題する問題はWeb教材として解説もあわせて公開しているので、各自時間を見つけて閲覧・学習することを推奨する。
 また、e-Learningとして履修する場合は、教員に事前に申し出るとともに、教材の閲覧や課題の提出だけでなく、定期的なメンタリング指導を受けることが求められることに留意すること。授業の一部をe-Learningで履修することも可能であるので、担当教員と相談すること。
講義日程

テーマ内容
第1週システムの導入・運用の形態とその最新動向ビジネスを展開する上でどのようにシステムを導入するべきか、自主開発から開発委託、クラウドの活用など、その最新動向を踏まえて理解を深める。
第2週ソフトウェライフサイクルプロセス、企画プロセス・要件定義プロセスと調達計画
SLCP-JCFの目的と構成について、特にシステム化計画から業務要件定義、システムの調達に至るプロセスについて理解を深める。
第3週ソフトウェア開発モデル
ウォーターフォール・モデル、プロトタイピング、スパイラル・モデル等伝統的モデルから、アジャイルプロセスまで、ソフトウェア開発モデルの特徴について理解を深める。
第4週システム要件定義・システム方式設計
業務要件を踏まえて、どのようなシステムを開発するか、求める機能や性能について明確にするプロセスと、そのシステム構成やユーザインタフェースの設計について理解を深める。
第5週ソフトウェア要件定義・ソフトウェア方式設計、コード設計
システムの主要要素であるソフトウェアの機能・性能要件の設計と、それを実現するソフトウェア構成について理解を深める。あわせて、コードの意義と種類とともに、システムに適切なコード体系の設計手法について学ぶ。
第6週ソフトウェア詳細設計、モジュール分割
モジュール分割の意義について理解を深めると共に、適切なモジュール分割設計の指針について学ぶ。
第7週プログラミングと言語プロセッサ
プログラミングとは何か、プログラミング言語の特徴やプログラミング工程に関わるソフトウェアについて理解を深める。
第8週プログラミング工程と単体テスト
プログラミングの手法と単体テストの技法とその評価について学ぶ。
第9週テスト工程単体テスト以降のテスト工程(結合テスト・ソフトウェア適格性テスト・システム結合テスト・システム適格性テスト・システム運用テスト)について理解を深める。
第10週見積もり・レビュー・開発支援ツールほかシステムの開発規模や工数、開発期間を推定する代表的な手法のほか、システム開発に関わるいくつかの補遺(レビュー手法・開発環境など)について説明する。
第11週ITサービスマネジメント
ITIL及びISO 20000シリーズにおいて求められるITサービス運用上のポイントについて理解を深める。
第12週バックアップとその復旧(1)
バックアップの意義とその運用方法(対象・媒体・時期・管理・担当など)について理解を深める。
第13週バックアップとその復旧(2)
フルバックアップ・差分バックアップ・増分バックアップの違いや、バックアップファイルやジャーナル(ログ)からの復旧手法について学ぶ。
第14週アクセス制御・排他制御
トランザクションの一貫性・独立性を維持するためのアクセス制御・排他制御の仕組み(セマフォ・ロック・デッドロックの検出・二層コミットメントなど)について理解を深める。
第15週システム監査の基礎
システム監査の目的と計画・実施・報告という基本的な進め方について、システム監査基準に基づいて学ぶ。


他の授業科目との関連
先端ビジネス論A及びCとは密接に関連するほか、ITシステム論Aにおいて扱う「ITシステムの仕組み」について理解しておくことは、本授業の内容を理解するために有効であろう。
評価方法
(1)出席状況、及び、毎回実施する小テストの点数30%
(2)定期試験(筆記)の点数70%
を基本点とした総合評価を行う。
なお、eラーニングにおける質問書き込み・ビデオ閲覧、研究室訪問など、授業時間外の学習についてはプラス評定する。
教科書
平成25年度 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室
栢木 厚 著 技術評論社
ISBN番号
ISBN-13: 978-4774153988
参考図書
平成24-25年度 ITパスポート 試験によくでる問題集 CBT対応
岩代 正晴、新妻 拓巳 著 技術評論社
ISBN-13: 978-4774149271

平成25年度 ITパスポート合格教本 CBT対応 (情報処理技術者試験)
岡嶋 裕史 著 技術評論社
ISBN-13: 978-4774153759
オフィスアワー(授業相談)
宮川の研究室に直接訪問して良い。また、Web教材における質問相談フォーラムを活用することを推奨する。
学生へのメッセージ
授業時間外での自主的かつ継続的な取り組みが重要である。例えば、Web教材の閲覧や演習問題への挑戦を積極的に行うことが高評価につながるポイントである。また、テキストには授業で触れない箇所も多いが、それらの自己学習を進めた場合も平常評価に加える(報告は随時任意の形式で受け付ける)。質問も大歓迎である。授業は教員の独演会であってはならないというのが私の考えである。

定期試験直前の対策は無論重要であるが、普段の取り組み(理解へのプロセス)こそ高く評価したいと考えている。「教わる」から「学ぶ」への一歩を、この科目を通じて踏み出して欲しい。