講義コード 1237J
講義名 先端ビジネス論C
(副題)
開講責任部署 全体
講義開講時期 秋学期
講義区分
基準単位数 2.00
時間 0
代表曜日 火曜日
代表時限 2時限
開講学科 情報処理学科
必選別 選択
履修セメスター 第4セメスター
その他
担当教員

職種 氏名 所属
准教授 ◎ 宮川 幹平 (指定なし)

講義概要
ビジネスを展開するにあたり、その経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を守るためのセキュリティの重要性は日増しに大きくなっている。
本授業では、高度情報化社会における脅威はどのようなものか、その脅威に対応するためのマネジメント手法について、技術・理論的な側面も含めて学習する。具体的には、不正アクセス、サービス妨害、ウィルスやフィッシング等、最新動向も含めたセキュリティ侵害行為とその対策のほか、暗号化理論や認証機構、ネットワークセキュリティなどの技術要素に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)についてである。

ITの一利用者にとっても重要な知識・技術が含まれており、将来技術者を目指す学生や理工情報分野への編入学を希望する学生だけでなく、情報技術を今後も仕事や趣味に活用していきたいと思う学生全てに受講を推奨する。
到達目標
企業組織や個人が取るべきセキュリティ対策の基本とその背景にある理論について理解する。
また、情報処理技術者試験(基本情報技術者試験・ITパスポート試験)における当該分野(セキュリティ)の出題レベルに対応出来る。
履修のポイント及び留意事項
本授業は、情報処理技術者試験「基本情報技術者試験」「ITパスポート試験」における、テクノロジ分野:セキュリティの内容に関係するほか、本学が実施する「基本情報技術者試験」午前試験免除認定講座の一部である。
 毎回の授業の最初には前週の内容に基づく小テストを実施する。当然成績にも反映されるのでよく準備しておくこと。出題する問題はWeb教材として解説もあわせて公開しているので、各自時間を見つけて閲覧・学習することを推奨する。
 また、e-Learningとして履修する場合は、教員に事前に申し出るとともに、教材の閲覧や課題の提出だけでなく、定期的なメンタリング指導を受けることが求められることに留意すること。授業の一部をe-Learningで履修することも可能であるので、担当教員と相談すること。
講義日程

テーマ内容
第1週ITに潜む危険性(1)情報資産と情報セキュリティの3要素について理解するとともに、それらに対する脅威(セキュリティ侵害行為)とはどのようなものがあるのか、最近の実例(攻撃手法)を交えて紹介する。
第2週ITに潜む危険性(2)
情報システムのセキュリティホール(脆弱性)とそれを利用する攻撃手法について
第3週ITに潜む危険性(3)ウィルスなどの不正プログラムによる被害とその対策に関して学ぶ。
第4週個人レベルでのセキュリティ対策
セキュリティホールの解消とWeb・メール利用における注意点について実践的に学ぶ。
第5週情報セキュリティマネジメントシステムと情報セキュリティポリシー
組織における情報セキュリティを維持するための組織的な取り組みについて理解を深める
第6週リスクマネジメント
リスクアセスメントとリスク対応を中心としたリスクマネジメントの手法について学ぶ。
第7週暗号化理論(1)
共通鍵暗号・公開鍵暗号の特徴と代表的な暗号化方式について学ぶ。
第8週暗号化理論(2)
ハッシュ関数と電子署名の仕組み、公開鍵の正当性を担保するための公開鍵暗号基盤(PKI)について学ぶ。
第9週暗号化技術(3)セッション鍵暗号の仕組みのほか、暗号化の実例(SSL/TLS、VPNなど)について学ぶ。
第10週アクセス制御と認証技術
パスワード認証、ワンタイムパスワード、生体認証、シングルサインオンの仕組みのほか、代表的なパスワードクラッキング手法とその対策について学ぶ。
第11週電子メールのセキュリティ認証プロトコル、暗号化プロトコル(POPoverSSL、SMTPoverSSL、S/MIME、PGP)、スパムメール対策について学ぶ。
第12週ネットワークのセキュリティファイアウォールの役割と仕組みを中心として、DMZ、IDS/IPS、検疫ネットワーク等について学ぶ。
第13週無線LANのセキュリティ無線LANにおける暗号化方式、MACアドレスフィルタリングに代表されるセキュリティ対策について学ぶ。
第14週セキュリティに関する評価ISO/IEC 27001、ISMS適合性評価制度のほか、セキュリティ製品や暗号モジュールに関する評価制度について学ぶ。
第15週まとめこれまで理解したことをまとめ、ビジネス展開におけるセキュリティの重要性について確認する。


他の授業科目との関連
先端ビジネス論A及びB、ITシステム論A〜Cとの関連が深い。
評価方法
平常点(出席・小テスト等)30%+定期試験結果70%を基本点として、授業への取り組み姿勢(Web教材へのアクセス頻度も含む)を勘案した総合評価を行う
教科書
情報セキュリティ読本 四訂版: IT時代の危機管理入門
ISBN番号
ISBN-13: 978-4407330762
参考図書
平成25年度 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室
栢木 厚 著 技術評論社
ISBN-13: 978-4774153988

平成24-25年度 ITパスポート 試験によくでる問題集 CBT対応
岩代 正晴、新妻 拓巳 著 技術評論社
ISBN-13: 978-4774149271

平成25年度 ITパスポート合格教本 CBT対応 (情報処理技術者試験)
岡嶋 裕史 著 技術評論社
ISBN-13: 978-4774153759
オフィスアワー(授業相談)
随時、宮川の研究室に直接訪問して良い。また、Web教材における質問相談フォーラムを活用することを推奨する。
学生へのメッセージ
授業時間外での自主的かつ継続的な取り組みが重要である。例えば、Web教材の閲覧や演習問題への挑戦を積極的に行うことが高評価につながるポイントである。また、テキストには授業で触れない箇所も多いが、それらの自己学習を進めた場合も平常評価に加える(報告は随時任意の形式で受け付ける)。質問も大歓迎である。授業は教員の独演会であってはならないというのが私の考えである。

定期試験直前の対策は無論重要であるが、普段の取り組み(理解へのプロセス)こそ高く評価したいと考えている。「教わる」から「学ぶ」への一歩を、この科目を通じて踏み出して欲しい。