講義コード 9963J
講義名 文学と歴史
(副題)
開講責任部署 全体
講義開講時期 秋学期
講義区分
基準単位数 2.00
時間 0
代表曜日 月曜日
代表時限 3時限
開講学科 両学科
必選別 選択必修
履修セメスター 第4セメスター
その他 e-learning履修可
担当教員

職種 氏名 所属
教授 ◎ 神山 高行 (指定なし)

講義概要
 本講義は総合教育科目の一つとして開講されている。文芸は、詩をはじめ、物語、小説など洋の東西を問わず古くから存在するが、学問として文学が人文系の研究対象に組み込まれた歴史はまだ浅い。しかも、その研究方法も様々であり、伝統的な作家・作品研究や批評、テキスト論のみならず、学際的な領域、例えば、心理学、精神医学、記号論理学、文化人類学、経済学などといった実に多種多様な学問領域の立場からも研究の対象となっている。これは文学(作品)というものが、人間の様々な叡智を内包してきたからとも言えるだろう。一方、歴史はどうだろう。無論、歴史は単なる記録ではない。歴史はその時代時代の思想や文化や世相を映し出す鏡であり、文学作品を生み出す背景として歴史と文学は相互に密接な関わり合いをもってきた。
 本講義では、イギリス文学を視座の中心において、文学の成り立ちや様々作家や文学作品とその時代時代の社会背景や時代思潮との関係について紹介しながら、文学とは如何なる学問か、というテーマにアプローチしていく。
 なお、本講義はeラーニングでの開講も予定されている。ただし、eラーニングでの講義では実際に行われる講義と若干内容が異なる。成績評価、レポート課題についても別途に説明する。 
到達目標
本講義では、次の点を主な到達目標とする。
(1)イギリス文学を通じて、文学と歴史(時代背景や社会背景)の関係について理解する。
(2)イギリス文学についての知識を習得する。
(3)読書レポート(3回程度)を通じて、読書習慣を身につけ、文献探索、文学研究の方法、レポートの作成法について習得する。
履修のポイント及び留意事項
イギリス文学全般を中心に講義する。講義用のノートを用意すること。
講義日程

テーマ内容
第1週ガイダンス年間の授業計画についてのガイダンスや本講義のポイントについて解説し、文学と歴史の見方について例をあげて説明する。
第2週文学とは何か(1)文学の起源と発達について、その歴史を概説し、文学研究についての基本的な知識や方法論を説明する。
第3週文学とは何か(2)西洋の文芸の源流であるギリシャ・ローマの文芸についての概念、特にプラトンのイデア論やホラティウスの『詩論』について考察する。
第4週歴史とは何か(1)歴史の概念から発して、世界史、特に西洋史について概観し、文学に関わる歴史的背景に重点をおいて解説する。
第5週歴史とは何か(2)イギリス文学の背景としてイギリスの歴史や風土について概観し、イギリスという国のもつイメージや国民性、文学の特色などについて講義する。
第6週イギリス文学(1)15世紀—中世英文学:中世は、英文学の黎明期といわれ、大陸の文学形式の影響から、ようやく自国の文学が生まれだした時期である。チョーサーの作品などを紹介する。
第7週イギリス文学(2)16世紀—シェイクスピアの時代:エリザベス朝は演劇文化が花開いた時代である。シェイクスピアの作品をまじえながら、その時代背景について講義する。
第8週イギリス文学(3)17世紀—宗教文学:ピューリタン革命の影響とミルトンを始めとする、ピューリタン文学との関係を論じる。
第9週イギリス文学(4)18世紀—科学と理性の時代:18世紀はジャーナリズム、批評、諷刺文学が発達した時代であり、その背景について考察する。
第10週イギリス文学(5)19世紀前半—ロマン主義の時代:フランス革命・啓蒙思想の影響をはじめ、自然や異国・古代への憧憬を生んだ時代背景とロマン派文学の関係を論じる。
第11週イギリス文学(6)19世紀後半—ヴィクトリア朝文学:国家の絶頂期にありながら、機械・物質文明、階級社会、女性の地位など様々な社会の問題点を19世紀の英文学に学ぶ。
第12週イギリス文学(7)20世紀前半—現代英文学:19世紀的な価値観から解放されるながら、象徴主義や意識の流れなど新たな文学の手法による作家と作品を紹介し解説する。
第13週イギリス文学(8)20世紀後半—現代英文学:第2次大戦後の急速な価値観の変貌と現代英文学の関係を中心に、ポストコロニアル後の英語による文学の可能性についても解説する。
第14週まとめこれまでの講義をまとめながら、文献探索やレポート作成の方法について概説する。
第15週学期末試験(またはレポート)学期末試験(またレポート提出)を行う。


他の授業科目との関連
教養や視野をひろげる意味でも様々な分野の総合教育科目を履修することをお奨めする
評価方法
学期末試験または学期末レポート40%、読書レポート20%、ノート点20%、出席状況・受講姿勢20%、により総合評価する。
教科書
使用しない。
参考図書
野町二他著『イギリス文学案内』(朝日出版社)など。その他については、授業時に随時紹介する。
オフィスアワー(授業相談)
空いている時間帯であれば、いつでも歓迎します。
学生へのメッセージ
文学とは「人間について考える」学問です。皆さんを文学の世界に誘いたいと思います。