講義コード 943JJ
講義名 比較文化論
(副題)
開講責任部署 全体
講義開講時期 秋学期
講義区分
基準単位数 2.00
時間 0
代表曜日 火曜日
代表時限 3時限
開講学科 国際文化学科
必選別 選択必修
履修セメスター 第4セメスター
その他 e-learning履修可
担当教員

職種 氏名 所属
准教授 ◎ 神山 高行 (指定なし)

講義概要
 文化とは何だろう。本講義では、この素朴な疑問から発して、海外・国内を問わず、様々な文化にまつわる諸相や現象を考えていく。従って、本講義で取り扱う分野は、あらゆる事柄、例えば、宗教、歴史、政治、経済、社会風俗、生活習慣、芸術、言語などがその対象となるだろう。また現在、国際化・グローバル化という大きな波の中、世界各地で起こっている摩擦、例えば、宗教・民族紛争から経済摩擦に至るまで、その根底にあるのは、お互いが中々理解することのできない、その国々の固有な文化の衝突によることも多いと言われている。
 そうした中、環境問題、人口問題、食料危機、テロリズム、先進国と開発途上国の経済格差など21世紀の国際社会が抱える問題は多岐にわたっている。こうした問題に対処するためには、人類は国や民族や宗教を超えて相互協力しあうことが不可欠であり、そのためには一人一人の人間が異文化に対する認識と理解を深めていかなければならないだろう。
 こうした背景に立って、本講義では文化や文明とは何かということから発して、文化・文明の摩擦の一例として、近代日本の出発点になった明治日本に着目し、西洋文化、特に英米文化と日本・日本人の関係を中心に講義を進めていく。その中で如何に国家が外国の文化や文明を取り入れ、時に摩擦を生じたか、その苦闘の受容史について取り上げ、特に日本の初期の近代化において多大な影響を与えたイギリスと戦後から現在にいたるまでの日本の文化・文明に密接に関わってきたアメリカ、この両国と日本との関係を視座の中心において、その歴史的背景や政治的背景について解説しながら、文化と国家の関係について論じていく。
 なお、本講義は、eラーニングでも開講されている。受講方法、課題提出、成績評価などについては別途に説明する。
到達目標
本講義では、次の点を主な到達目標とする。
(1)文化・文明全般についての理解を深める。
(2)イギリス、アメリカ、日本に関する知識を修得する。
(3)課題レポート作成を通じて、文献探索法やレポート作成法を修得する。
履修のポイント及び留意事項
講義用のノートを用意すること。
講義日程

テーマ内容
第1週ガイダンス年間の授業計画についてのガイダンスと比較文化に関する簡単なアンケート調査を行う。
第2週文化とは何か「文化」と“culture” ということばの語源から発して、文化が扱う領域や文化の定義、「文化」と「文明」の違いについて解説しながら、古今東西の文化・文明の交流史について概観する。
第3週文化の基層文化の基層にある宗教と生活の基層にある衣・食・住との関係について考察しながら、様々な宗教的タブーや習慣の違いからくる文化の摩擦についての事例を紹介する。
第4週西洋文化・文明と日本(1)日本の古代からの文化輸入史を概観しながら、特に日本の近代国家としての出発点となった明治時代に着目し、西洋文化受容の歴史と文化と翻訳の問題について考察する。
第5週西洋文化・文明と日本(2)ルース・ベネディクト、E.ライシャワー、土居健郎らによる日本・日本人論を軸に、日本人とアイデンティティの問題について紹介しながら、今後の国際社会における日本・日本人のあり方について考える。
第6週英米文化の諸相(1)欧米の中で、特に明治期の日本の近代化に影響を与えたイギリスの文化・文明について講義する。その歴史的・風土的・社会的な成り立ちを概説する。
第7週英米文化の諸相(2)イギリスの政治と社会について、その歴史的背景について概説する。特に立憲君主制やコモン・ローと呼ばれる英米法の成立過程、及び教育制度や階級社会について紹介する。
第8週英米文化の諸相(3)イギリスの戦後から現在までの経済について概説する。特に1980年代の規制緩和を中心としたサッチャー政権下の経済政策に注目し、経済と社会と文化の関係について論じる。
第9週英米文化の諸相(4)イギリスの芸術文化とポップカルチャー(美術・工芸、映画・演劇、音楽、スポーツ、ファッションなど)について紹介しながら、社会と文化の関係について考察する。
第10週英米文化の諸相(5)アメリカの歴史・風土・社会の成り立ちについて概説する。特に大統領制や二大政党制といった国家システムを取り上げ、超大国アメリカのこれまでの歩みと国際社会に与える影響について考察する。
第11週英米文化の諸相(6)戦後以降の日本とアメリカの政治・経済の関係を中心に論じる。特に高度成長期から1980年代までの日米の経済摩擦の問題を取り上げ、日米安保を基軸とする両国の政治的関係を交えながら解説する。<BR>
第12週英米文化の諸相(7)多文化社会、強大な工業力を背景にしたアメリカの大衆文化の成立について解説しながら、アメリカの芸術文化(美術・工芸、音楽、映画・演劇、ジャーナリズム、スポーツなど)の諸相を紹介する。<BR>
第13週英米文化の諸相(8)文化・文明の摩擦の事例として、米国同時多発テロを取り上げ、事件の背景について解説しながら、アメリカが抱える諸問題と国際社会との関係について考察する。
第14週文化・文明の未来これまでの授業をまとめ、国際社会の中での日本のあり方や課題と文化・文明の未来について考える。また学期末試験(または学期末レポートの課題)について解説する。
第15週学期末試験(または学期末レポート)学期末試験(または学期末レポート提出)の実施


他の授業科目との関連
他の文化関連の科目
評価方法
出席状況・受講姿勢20%、ノート点20%、小レポート(2回)20%、学期末試験(または学期末レポート)40% により総合評価する。
教科書
なし
参考図書
サミュエル・ハンチントン著『文明の衝突と21世紀の日本』(集英社)、小池滋監修『世界の歴史と文化 イギリス』(新潮社)、亀井俊介監修『世界の歴史と文化−アメリカ』(新潮社)など。その他については、随時紹介する。
オフィスアワー(授業相談)
空いている時間帯であれば、いつでも歓迎する。
学生へのメッセージ
文化とは人間の生活すべてに関わる事象です。身近なところから文化について考えると興味がわきますよ。